虚構の男がゴミ捨て場に不時着する。

極力毎日掌編。そうさユアグローもどき。或いは『絵のない絵本』の月。

2015-01-01から1年間の記事一覧

パフェ

私は庭の青々とした芝生の少し禿げたところに小さな穴があるのに気づく。近づいてじっと見ているとその穴にぞくぞくと蟻が潜っていくではないか。私は思わずその場所に屈んで手に持っていたパフェスプーンで穴をほじくりはじめる。 初めは穴があるところの表…

沈黙する砂

女は海辺の家に住んでいる。 女は夜、眠りにつくときにはいつも砂の音を聞く。波や風に揺られて砂が鳴る音。女は「砂が泣いている」と感じる。女には心苦しい夜が続く。 ある日、女が砂の上に眠っていると、そこで砂の声を聞く。太陽の光を反射してきらきら…