虚構の男がゴミ捨て場に不時着する。

極力毎日掌編。そうさユアグローもどき。或いは『絵のない絵本』の月。

洗濯

  洗濯機に洗うべき衣類を放り込み、洗剤を入れた後、その中に麻酔薬を一滴垂らす。男の子は真剣な顔で魔法の言葉めいたものを呟く。洗い終えた衣類の彩度は以前よりも落ちる。それを着た男の子は少しだけ目立たなくなり、同時に心の痛みを感じにくくなる。

洗濯機に洗うべき衣類を放り込み、洗剤を入れた後、その中に目薬を一滴垂らす。女の子は笑いながら魔法の言葉を呟く。洗い終えた衣類の彩度は以前よりも増す。それを着た女の子は普段にも増してとても魅力的に映る。

 その日、いじめっ子は、男の子を見逃して、女の子に夢中。

-N0.18-